【ネタバレ無し映画レビュー】
殺陣の美しさよ!
黒澤明監督作品唯一の続編映画「椿三十郎」のレビューです。
前作「用心棒」が陰だとしたら、「椿三十郎」は陽です。
わき役の侍や家老の奥さん、お嬢さんの登場でコメディ要素が倍増しています。
1962年「椿三十郎」
古びた寺に集まる若侍たち。役人の汚職を告発しようと相談しているうちに現れる浪人・三十郎。
三十郎は若侍たちが信頼している大目付こそ汚職の黒幕だと指摘する。
三十郎は若侍たちを助け黒幕打倒を試みる。
「用心棒」のレビューはこちら↓
銃vs日本刀の熱いバトル!!「用心棒」
明るい用心棒
知恵と剣術を駆使して悪者を倒すという流れは前作同様ですが、先にも書いた通りコメディ要素が倍増です。
旦那が死にそうなのに飄々としている(旦那を信用している?)家老婦人とそのお嬢さん、二人に翻弄される三十郎、すべてに翻弄される若侍たちの姿が笑える。
また、悪役は仲代達也以外が悪いだけでバカっぽいので、三十郎の策略にかかりまくる姿も面白い。
三船敏郎の表情も用心棒より豊かになっていると思う。
用心棒のギラっとした感じもよかったけど、椿三十郎の朗らかな表情もまたイケメン。
数十年後、娘がああなるとは知らぬ頃の朗らかな三船よ……。
超絶アクション!!
敵に自分を用心棒として売りこみ自滅を誘う三十郎は、前作と同じ流れ。
ストーリーは前作同様、最高に巧みで面白い。
敵に捕らわれた家老を助け出したいけど捕らわれ場所が分からないうえ、敵の人数が味方の数倍で、味方の戦力は三十郎のみ……(若侍たちは弱いww)。
この戦力差を覆す三十郎の策略と行動が、前作同様めっちゃ面白い。
アクションの方は中盤の二十数名一気斬りが有名。
三船が悪魔のような強さで人を殺しまくる。無双の概念は50年以上前に確立されていた……!
最強の三十郎に敵わないと悟った二十数名の侍たちは早々に逃げ出そうとするけど、三十郎が逃がさないww
逃げまくる人たちを容赦なく切り伏せる悪魔の姿がもはや爽快。
そして、三十郎が「虎」と評する仲代達也(前作と別の役として登場)との対決が一番の見どころ。
ラストの対決がどんなものかは話に聞いてたけど、聞くと観るとでは大違い。
ラスト数十秒はまばたき出来ないし、唾を飲み込むのすらはばかられる。
そして大量の血のり。体が浮き上がるほどだったそうです。
白黒でも、50年以上前の映画でもここまで面白い。
巧みなストーリーと三船のイケメンさ、超絶殺陣アクションが楽しめる映画でした。